ひとり介護 5年間の記録

2019年に母が他界。以後2020年からは5年間の介護の日々を振り返ります。介護と向き合う方に少しでもヒントとなり、エールになりますように。

5年間の介護記録〜新居探し

2013年6月

 

父の四十九日後、墓所が決まり

納骨も済ませたところで、

母と一緒に暮らす物件探しを始めました。

 

折しも

私の住まいの近隣に新築物件が

いくつか出始めたのです。

 

まだ父の生前に、また一緒に暮らそうか・・・

そんな事を時折父と話しながら、

便利で住みやすい私の住む町に

両親と愛犬と共に

暮らせる物件を求めましたが

当時は全くと言っていいほど無く、

ようやく出て来るのは

最寄り駅から遠くアクセスも悪いのに高額!

 

タイミングってあるんですね。

 

今回 物件探しを始めてからは、

次々と出て来る物件にあおられる感じで

資料請求したり、

説明会やモデルルーム見学に行ったり・・・

 

母はそんな物件探しが楽しいらしく、

嬉しそうに 一緒に説明会に

参加してくれていました。

 

そんな生き生きとした母を見ると、

やっぱり  お父さんの事がショックで

一時的に少しおかしかったんだ。

そう納得してしまっていました。

 

いよいよ、一つの新築マンション物件に決め、

そこからは部屋タイプと価格、階数、

部屋の位置、抽選倍率など

詳細を詰めて行く段階に入って行きます。

 

でも、資金繰りのための銀行との交渉や

実家の処分について

現実的に考えなければならなくなると、

あれほど楽しそうに新しい住まい探しに

前向きだった母の様子が一変したのです。

 

「この家も築40年を超えてるから、

片付けて少しでも綺麗にして.

売却しやすいように整えないとね。」

と言うと、

 

「そんな事、

急に言われても片付けられないわよ。

だいたい、勝手にアナタが新しいマンションなんか買う事決めて!

私はOKした覚えはないからね!」

 

あんまりである・・・

 

もちろん

先ず母の意志を尊重し、

地方に暮らす兄にも相談して、

最終的に決めた事だったから。

 

「ねぇ、お母さん

新しいマンションに住み替えるってどう思う?

そうなると実家も出ることになるから

処分を考えることになるけど、どうかな?」

と聞くと、

 

「ここは車じゃないと買い物も不便だし、

私ももう車の運転出来ないし・・・

新しい所へ行きたい。」

と応えた母。

 

対向車との接触事故を起こして以来、

運転を止めた母としては

もっともな気持ちと言えるでしょう。

 

それが何故か

母にとっては 聞いていないし、知らない事

になっているのです。

 

こんな ちぐはぐな事が起きても まだなお、

母の認知症が進行しているとは

気付けなかったのです。