5年間の介護記録〜認知症の進行
2013年5月
父亡き後も実家で独り暮らす母の状態は日に日に悪化して行く。
それでもまだ、今はまだ精神的に不安定だからだ、認知症ではない。
そんな風に考えていた、いえ、そう考えようとしていました。
会社員としてフルタイムで仕事をしながら 父の墓所探し、納骨や法事、遺品整理、相続その他 やる事は次から次へとのし掛かって来る中では、母の認知症の進行にまで注力する余裕が無かったとも言えます。
同時に母と共に暮らす事を視野に実家に戻るのか、私の住まいに迎入れるのか、検討を始めましたが、持ち物が多く捨てられない母と住むには、私の住まいは狭すぎました。
ゴミ屋敷のようになっていた実家で唯一片付いていた亡き父の部屋もまた母により荒れて行くばかりで、これ以上実家で暮らす事もまた難しくなっていたのです。
そして母が言うのです。
「お父さんが帰って来たよ。
咳払いもするし、足音も聞こえたよ。」
家に帰りたくても帰れなかった父の魂が名残惜しくて戻って来ているのかも知れない とも思えたが、母がそういう意味で言ったのか 真面目にそう思い込んでいるのかわかりませんでした。
母に、頼むから家を片付けてくれ、私も手伝うからと言うと
「何勝手な事言ってるの!ここは私とお父さんの家で、あなたに関係無いでしょう!」
「もう、うるさい!口出ししないで‼︎」
私もまた
「じゃあ、もう知らないから!
何もかも自分で独りでやって!」
そう捨て台詞を言い、夜遅くに実家を飛び出す。
何でこんな事になるのか・・・
自宅への帰り道、涙が後から後から溢れて止まりませんでした。
しかし、
正に母のこの言動こそ、認知症の進行に他ならなかったのです。