ひとり介護 5年間の記録

2019年に母が他界。以後2020年からは5年間の介護の日々を振り返ります。介護と向き合う方に少しでもヒントとなり、エールになりますように。

5年間の介護記録〜母の異変2

2013年9月

 

母と暮らす新しいマンション購入の為には、

現在の私の住むマンションのローンを

完済し抵当権を抹消すること。

実家の売却を進め、新しいマンション購入ローンの繰上げ返済をすること。

 

こ2つが銀行から提示された条件でした。

 

今私が住むマンションを手放さない訳は、

亡き父との想い出が詰まった部屋だから、

そして勿論、母や愛犬との想い出も。

 

独身である私自身の老後の為の貯蓄全額と

父の遺産に当たる保険金の全てを

今住むマンションのローン完済に当て、

新たに購入するマンションのローンを組む。

 

繰上げ返済をしなかった場合、

完済時の私の年齢は80歳!

頭金として全ての貯蓄を使い果たしての

この計画は何とも無謀と言えるかもしれません。

 

それでも、現状では立ち止まる事もまた難しく、

こうしてマンション購入が決定したのです。

 

母は相変わらず、

自分は承知していない事と 知らん顔を決め込み、実家は益々散らかって行きます。

 

父が丹精を込めていた庭も雑草が生茂り始め、

心配したお隣りさんが 地域ボランティアの

庭清掃を紹介してくれました。

 

世間体もあって、庭の清掃については

母も了承してくれましたが、

家の中は全く片付けようとはしません。

 

母と私は言い争いばかり。

母の攻撃的な言葉は愛犬にも向けられ、

もう面倒見れないから

アンタが連れて行って頂戴!

それが無理なら捨てて来て!

 

以前の母には有り得ない、

全身が凍り付く言葉でした。

 

父と母と、愛犬。

私が休みの日欠かさず実家に顔を出したのは、

この大切な家族に会うためだった。

 

皆で愛犬も連れて 買物に出掛けると、

「あーっ、わんわん!」

と子供達に囲まれて

いちばん嬉しそうだったのは母である。

「可愛いでしょ?」と

母らしい屈託のなさで子供達に話しかける、

そんな母だったのに。

 

母は鬼になってしまったのだった。