ひとり介護 5年間の記録

2019年に母が他界。以後2020年からは5年間の介護の日々を振り返ります。介護と向き合う方に少しでもヒントとなり、エールになりますように。

5年間の介護記録〜母の異変

2013年3月

 

それは本当に突然突き付けられた事実でした。

 

入院した父を見舞った帰り、母の運転がおかしい。

右に 右に寄って走行する。

センターライン寄り、つまり対向車線に寄って行ってしまう。

「お母さん、危ない!もっと左に寄せて!」

「どうして⁈ そんな事したら左の電信柱や人にぶつかってしまうじゃないの!変な事言わないで‼︎」

この時点で運転を代われば良かった・・・

でも、右に寄り過ぎている事を認めようとしない母に運転を代らせる事は難しかったのです。

そしてとうとう、対向車のサイドミラーと接触

「バーン‼︎‼︎」

やっぱり、やってしまった!

そう思い「だから言ったのに!対向車にぶつかっちゃったじゃない!」

 

ぶつかった対向車の、いえ正しくは ぶつかられた被害者である対向車のドライバーさんは中年男性。

「何だよ!こっちに寄って来るから変だなと思って避けていたのに、更に寄って来て!

何考えてるんだよ‼︎」

 

あまりに最もな言い分にこちらは何も言えない。

どうやら先方のサイドミラーが破損したようです。

こちらは右のドアに少しの傷。

 

ひたすら同じ言葉を繰り返し謝る母。

「かえって私が出ない方がいいかもしれない・・・」

そう直感し助手席に身を沈め息を潜めていると

「全く仕様がないなぁ!

アナタもう運転しちゃダメだ!

ハァ、もういいよ!」

 

恐らく母の異常を察し、これ以上話しても無駄だと思われたのでしょう。

悪い人じゃなくて良かった!

いや、むしろ本当に申し訳ない!そして人に危害が及ばなくて良かった。

 

しょんぼりと何も言わなくなった母に代わり私の運転で帰宅。

 

これが、母の認知症が紛れもなく顕在化した最初の出来事だったのです。